2008年09月05日

脳血管障害

脳卒中(のうそっちゅう)とは、脳の血管障害が原因で起こる病気の総称で、「脳血管障害(のうけっかんしょうがい)」が正しい名称です。脳の血管に異常が起こり、突然、意識がなくなり、手足の自由が利かなくなる病気です。

脳卒中(脳血管障害)は、大きくわけると、「脳出血」、「脳梗塞(のうこうそく)」「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」の3つになります。

●「脳出血(のうしゅっけつ)」
「脳溢血(のういっけつ)」ともいいます。
脳の小さな動脈が破れて脳内に出血が起こる病気です。手足の麻痺(まひ)や意識障害などの症状が出ます。出血した場所によって、細かく分類されます。高血圧性脳出血が大部分を占めます。

●「脳梗塞(のうこうそく)」
脳の血管が詰まってしまったために、そこから先に血液が行かなくなり、脳への血流が減って脳の組織が死んでしまう病気です。
脳梗塞は、病気の成り立ちにより、大きく「脳血栓症(のうけっせんしょう)」と、「脳塞栓症(のうそくせんしょう)」に分けられます。

●「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」
頭蓋骨(ずがいこつ)の下にあり、脳や脊髄(せきずい)上部を包む膜を「くも膜」といいます。「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」というのは、この膜の内側にある動脈が破裂して出血する病気です。動脈にできたこぶが破裂することが原因で、これが破裂すると突然の激しい頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)といった症状が出ます。
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脳出血

脳の血管障害が原因で、突然、意識がなくなり、手足の自由が利かなくなる病気・・・主に、「脳出血」、「脳梗塞(のうこうそく)」「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」の3つ・・・を総称して「脳卒中」といいます。脳卒中は、正しくは、「脳血管障害」といいます。

脳出血
このうち、「脳出血(のうしゅっけつ)(「脳溢血(のういっけつ)」)」とは、脳の血管が破れ、脳内に出血が起こり、意識障害や麻痺(まひ)がおきる病気です。
出血場所によって、5つに分類されます。

1.被殻(ひかく)出血
2.視床(ししょう)出血
3.脳幹(のうかん)出血
4.皮質(ひしつ)・皮質下出血
5.小脳(しょうのう)出血

このうち、出血場所として最も多いのは、1.被殻(ひかく)出血と2.視床(ししょう)出血です。このふたつだけで脳出血の8割を占めるといいます。

脳出血の発作は、いつ起こるかわかりません。仕事、食事、入浴、あるいは用便の最中に起きる可能性があります。興奮して精神的ストレスがかかったときにも起こりやすいといわれます。
血圧が高くずきんずきんとした頭痛がある、目が見えにくくなってきた、といった症状が脳出血の発作の前触れとなることがありますが、このような症状が何もなく、突然、起こることも少なくありません。

脳出血を起こすと、意識障害や麻痺などの「局所神経脱落症状(きょくしょしんけいだつらくしょうじょう)」を示します。脳には、それぞれ役割分担があり、「局所神経脱落症状」というのは、損傷を受けた部分のはたらきがなくなって起こる症状をいいます。
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死亡率

脳卒中(脳血管障害)は、昭和26年にそれまで日本人の死亡率のトップを占めていた、結核にかわってトップに躍り出ました。その後、ずいぶんと長いあいだ、首位に位置していましたが、昭和45年ころからしだいに減り始めました。
脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のすべてについてずいぶんと減っています。そして昭和60年には、心臓病よりも少なくなり、第3位になりました。

脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の内訳は、かつては、1位が脳出血、2位がくも膜下出血、3位が脳梗塞でした(1960年)。日本人には、脳出血が多く、脳梗塞は少ないというのが一般的な傾向だったのです。

しかし平成に入り、平成7年には脳梗塞が脳出血の2倍以上になっています。このような脳出血と脳梗塞が逆転した理由は、4つ考えられます。
1つは、医療技術の進歩(CTスキャン)により、両者の区別が容易になったことです。脳出血は、脳の血管が破れて脳のなかに出血するものであるのに対し、脳梗塞は、脳の血管がつまってそこから先に血液が流れなくなることから脳の組織が死んでしまう病気です。
2つは、精力的に実態調査がおこなわれるようになったことです。
3つは、脳出血の大部分を占めるのが、高血圧性脳出血なのですが、この高血圧の管理が比較的よくおこなわれるようになったことがあります。
そして4めとしては、環境、特に食生活の変化によって、動脈硬化による病気が日本人に増えているということです。
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脳梗塞の前触れ症状

脳卒中(のうそっちゅう)というのは、正式には「脳血管障害」のことで、脳の血管が破れたり、詰まったりする病気の総称です。脳卒中は、大きく、「脳出血」、「脳梗塞(のうこうそく)」「くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)」の3つにわかれます。

脳梗塞
脳への血流が少なくなり、そこで利用される酸素と栄養が足りなくなると、脳の細胞は死んでしまいます。脳梗塞というのは、このような現象が脳の一部で起こる病気です。
脳梗塞は、「脳血栓症」と「脳塞栓症」のふたつに大きくわかれます。

脳卒中のひとつ、脳梗塞には、前触れとなる症状があります。「一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)(TIA)」というものです。
一時的に手足がまひする、言葉がうまくしゃべれなくなる、といった症状です。このような症状は、すぐに消えてしまう、一時的な発作です。心臓や頚動脈(けいどうみゃく)から小さな血栓がはがれて流れてきて、脳の血管につまり、そこから先に一時的に血液が流れなくなるためにおきます。しかしこの小さな血栓はまもなく溶けてしまうため、また血液が流れ出し、症状が消えるのです。
実際には、数分から10分程度で症状が消えてしまうことから、気にしなかったり、何かほかのせいにしてしまいがちですが、このような症状をそのまま放置すると、やがて本格的な脳梗塞の発作を起こす確率が高くなります。医学的には、24時間以内に症状が消滅する場合を、一過性脳虚血発作と呼び、脳梗塞の警告的な発作と考えます。
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脳血栓症

脳卒中(脳血管障害)のひとつに、脳梗塞(のうこうそく)があります。脳卒中(脳血管障害)のなかでも最近、特に増えている病気です。
以前は、「脳軟化症(のうなんかしょう)」と呼ばれていました。脳梗塞は、さらに二つに分かれます。「脳血栓症」と「脳塞栓症」です。両者は、予後が異なり、治療法も変わります。脳梗塞のなかで両者の割合は、「脳血栓症」対「脳塞栓症」で約7対3です。

「脳血栓症(のうけっせんしょう)」は、動脈硬化を基盤として脳動脈がつまる病気です。一方、「脳塞栓症(のうそくせんしょう)」は、心臓などにできた血液のかたまりが脳動脈に流れ込んで内腔をふさいでしまう病気をいいます。

脳血栓症について、その起こり方、誘因、前触れとなる症状、症状、再発の危険性などについて以下に説明します。

脳血栓症
●起こり方・・・動脈硬化や血管炎などの血管狭窄がある場合に、血液の流れが停滞して起こります。
●誘因・・・降圧薬を飲みすぎた場合や、急激な血圧低下、および脱水症状による血液の濃縮が誘因となります。
●前触れ症状・・・一過性で片麻痺(へんまひ)や、片方の目の視力障害が前触れで起こることがあります。
●症状・・・半身の運動麻痺や感覚障害、言語障害(失語症など)、および視野の障害が出ます。はじめは軽い症状だったのが、時間がたつにつれて徐々に麻痺が進行する場合が多くあります。1~2日かけて徐々にひどくなっていきます。
●発作の危険性・・・年齢が60歳以上の人に起きやすいといわれます。夜、睡眠中に起こりやすくなります。
●再発・・・動脈硬化の程度によって再発する可能性もあります。
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脳塞栓症

脳卒中(脳血管障害)には、大きくわけて3つの病気があります。脳梗塞、脳出血、およびくも膜下出血です。脳卒中のうち、以前は、日本人には脳出血が多く、脳梗塞は少ないといわれていましたが、近年、脳梗塞が脳出血の2倍以上になっています。
この脳梗塞は、さらに、動脈硬化を基盤として脳動脈がつまる「脳血栓症(のうけっせんしょう)」と、心臓などにできた血液のかたまりが脳動脈に流れ込んで内腔をふさいでしまう「脳塞栓症(のうそくせんしょう)」にわかれます。両者は、それぞれ予後も、治療法も異なります。

脳梗塞のうち、その3割をしめる「脳塞栓症」の起こり方、誘因、前触れとなる症状、症状、再発の危険性などについて以下に説明します。

脳塞栓症
●起こり方・・・おもに心臓内にできた凝血塊(ぎょうけつかい)(栓子(せんし))が脳に運ばれてきて、突然、脳の血管をふさいでしまったために起こります。
●誘因・・・過労や、アルコールの飲みすぎが原因となります。また、脱水による血液の粘度の上昇は凝血塊ができやすくなる誘因となります。

●前触れとなる症状・・・心不全や脱水など。

●症状・・・片側の麻痺や意識を失うことがあります。脳血栓症の場合は、徐々に麻痺が進行していくのに対して、脳塞栓症の場合、発作後すぐに麻痺が完成してしまいます。

●発作の危険・・・年齢を問わず起こる可能性があります。比較的若い人も起きます。活動中に起こることが多いといわれます。

●再発の危険性・・・再発の危険性はかなりあります。
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脳出血の際の対応

脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のうち、脳出血は、現在でこそ脳梗塞よりも少なくなりましたが、以前、脳卒中(脳血管障害)の主要な病気です。
脳出血の発作の前には、血圧が高くて、ずきんずきんとする頭痛が伴う、目がよく見えなくなってきた、といった前触れの症状があることがあります。(もちろん、このような症状がなにもなく、突然、発作を起こすこともあります。)

そして、突然、左右どちらかの手足の動きが悪くなり、頭痛を訴え、いびきをかいて眠るようになった、とき、脳出血が起こっている可能性が強いと思われます。

脳出血らしい症状があらわれたら、すぐに救急車を呼び、医師の診察を受けることが大切です。救急車がくるまでの時間も大切です。救急車が来るまでの間に周囲の人は、次のような対応をしてください。

1.まず、2人以上で上半身と下半身をかかえ、病人を暖かい、静かな場所へ移動させます。頭を動かさないことが大切です。また、頭が前にうなだれないようにします。
2.衣服を緩めます。上半身をやや高めにして寝かせます。いびきをかいたり嘔吐するときは、麻痺した側を上にして頭を横にむけ、嘔吐物は、ガーゼなどを指に巻いて、かき出してください。
3.窒息をふせぐために、仰向けのときには、首の下に座布団をふたつおりにして入れ、あごを前に突き出し、頭を低くして気道を確保します。うつぶせのときには、無理にあおむけにせず、のどを伸ばします。
4.こん睡状態にあるときや、さかんに嘔吐を繰り返すとき、または呼吸がかなり乱れているときには、動かさずに、その場で救急車の到着を待ちます。
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脳出血の内科的治療

脳卒中(脳血管障害)は、日本人の死亡率の第3位を占める恐ろしい病気です。
脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のなかで、脳出血の発作がおきた際には、とにかく一刻も早く、救急車を呼び、医師の診察を受けることが大切です。

救急車が到着し、病院へ運ばれると、まず次のような全身的な処置がとられます。
1.呼吸管理
2.血管の確保
3.血圧の管理

同時に、CTスキャンなどによる正確な診断がおこなわれます。それによって、出血の部位や障害の程度を確認し、治療方法を選択します。

治療は、大きく、内科的治療と外科的治療にわかれます。ここではまず、内科的治療について簡単に説明します。

1.内科的治療
発作後、まだ安定していない時期に対処するためのものです。
・血圧を一定レベルに保ち、嘔吐や発汗による脱水傾向に対処して輸液(ゆえき)を行います。
・脳浮腫への対応をします。これは、血腫の周囲に起こった浮腫が高度になると、脳ヘルニアと呼ばれる症状を起こし、危険な状態に陥るため、グリセロール、マンニトールを投与して脳浮腫への対策を図るものです。
・消化管への出血への対応。脳出血では、出血によるストレスから消化管に出血する例が多いためです。潰瘍治療薬(かいようちりょうやく)を静脈内に投与するか、あるいは胃チューブを通じて、投与します。
・尿路や呼吸器への感染症への対応。これらは脳卒中(脳血管障害)の重大な合併症なので、その対策は重要です。
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脳卒中の死亡率

現在、脳卒中(脳血管障害)は、がん、心臓病に次いで、日本人の死亡原因の第3位を占めています。一時期に比べると、ずいぶんと減ったのですが、減ったのはあくまで「死亡率」であり、発症率は減っていないという報告もあります。
脳卒中(脳血管障害)の3つの主な病気・・・脳出血、脳梗塞、くも膜下出血・・・のうち、脳出血については、高血圧の管理が進んで、生死をわけるような大きな大出血が少なくなったことが、死亡率の減少につながったといえます。また、医療技術、特に救急救命技術の進歩で、以前ならば亡くなっていた人の命を助けられるようになった、ということもあるでしょう。
しかし、脳出血の場合、確かに、大きな出血は減りましたが、小さな出血は減っていないのが現状です。そのため命は助かったけれども、身体になんらかの障害が残り、リハビリが必要な人は、逆に増えています。
また、脳梗塞についても、本格的な大発作ではないけれどいも、小さな脳梗塞(200〜300ミクロンといった小さな血管が詰まる状態)が増えています。これらの小さな脳梗塞ならば、発作があっても命は助かるのです。しかし、日本人の食生活が変化したことで、動脈硬化による病気が増えたことから、、かつて日本人には少ないとされていた脳梗塞は、現在、脳出血を上回るほどになっています。
また、脳卒中(脳血管障害)の3つの病気・・・脳出血、脳梗塞、くも膜下出血・・・のなかで、もっとも少ないとされる、くも膜下出血の場合は、重症度が一般に5段階にわかれ、治療技術、特に外科的治療の技術がかなり確立してきています。
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くも膜下出血の重症度と治療法の選択

脳卒中(脳血管障害)の3つの病気、すなわち脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のうちで、もっとも発症頻度が低く、死亡率が低いとされるのが、くも膜下出血です。くも膜下出血は、重症度によって一般に5段階にわけられ、段階に応じて、内科的治療にするのか、それとも外科的な治療(手術)にするのか、分かれます。

くも膜下出血の重症度
0度・・・未破裂脳動脈瘤症例

1度・・・意識清明で神経症状(局所的な脳神経麻痺以外)のない例、またはあっても軽度の頭痛や項部強直の症例

1−a・・・固定した神経学的異常がある慢性例

2度・・・意識清明で中等度ないし強度の頭痛と項部強直はあるが、脳神経麻痺以外の神経症状がない例

3度・・・傾眠、錯乱状態または軽度の局所神経症状のある例

4度・・・昏迷、中等度ないし高度の片麻痺、ときに初期除脳硬直を思わせる所見および自律神経障害のある例

5度・・・深昏睡、徐脳硬直、瀕死状態の症例

(参考・・・篠原幸人「今日の診断指針」医学書院)

内科的治療か、外科的治療かの選択について
くも膜下出血で外科的な手術が必要となるのは、意識もまったくなくていちばん状態が悪い5段階目の場合です。もうろうとしながらも意識があり、片麻痺などがみられる、4段階目までならば、外科的手術は必要ないのではないか、といわれます。ただし、内科的治療では、根本的な治癒はできません。したがって、予防のための手術ということもあります。
くも膜下出血は、脳卒中(脳血管障害)のなかでも、手術でなおる可能性がもっとも高い病気です。手術がうまくいけば、予後はほかの脳卒中(脳血管障害)よりも良いといえます。
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脳卒中後遺症

脳卒中(脳血管障害)は、現在、日本人の死亡原因の第3位です。1位は、がん、2位は、心臓病です。以前は、首位を占めていたのが、減少したのは、治療技術、特に救急救命技術の進歩のおかげです。また、脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のうち、高血圧が大きな要因である、脳出血についていえば、高血圧の管理技術が進んで、生死をわけるような大きな出血が減ったことが、死亡率の低下を導いたといわれます。
しかし、食生活の変化により、動脈硬化が進み、動脈硬化が原因となる脳梗塞は、現在では、脳出血をうわまわるほどになっています。

現在、確かに脳卒中(脳血管障害)による死亡率は減りましたが、それは同時に、死亡はしなかったものの、後遺症を残したまま生存するケースを増やす結果にもなっています。これを「脳卒中後遺症(のうそっちゅうこういしょう)」といいます。

脳卒中後遺症とは、脳卒中の発作によっておこった症状・・・自覚症状、神経症状、精神症状・・・が、1ヶ月以上たった時期(慢性期)になっても、消失しておらず、日常生活に支障をきたしている状態をいいます。
たとえば、片麻痺(まひ)が、その主なものです。片麻痺は、脳卒中(脳血管障害)の3つの病気である、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の、どの病気においても共通してみられる症状です。
そのほか、言語障害(失語症)や、失行(しっこう)・・・簡単な日常の動作ができなくなる障害・・・、失認(しつにん)・・・視覚的には見えているのにそれが何であるのか認識できない・・・があります。
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脳卒中後遺症の症状

医療技術の進歩により、脳卒中(脳血管障害)で死亡する日本人の数はずいぶんと減りました。しかし、それは同時に、死亡こそ免れたけれども、後遺症をかかえて生きている患者さんの増加を意味することになっています。

脳卒中(脳血管障害)の3つ、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のなかでは、脳出血よりも、脳梗塞のほうが重症の後遺症が残ることが多いとされます。現在、日本では、脳出血は減ったものの、逆に脳梗塞は増えていますので、これは由々しき問題であるといえるでしょう。

脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のすべてに共通する後遺症の症状は、「片麻痺」です。そのほか、失語症や失行、失認といった、「高次神経機能障害(こうじしんけいきのうしょうがい)」といわれる症状があります。

●失語症(しつごしょう)・・・ヒトの脳の言語をつかさどる領域(言語中枢)が損傷を受けたためにおこる障害です。話すことができない、人の言ったことが理解できない、読み書きもうまくできない、といった症状が出ます。右利きの人では右麻痺のときに、また左利きの人の場合は左麻痺のときに、失語症が生じます。

●失行(しっこう)・・・麻痺が原因ではないのに、洋服を着たり、ズボンをはくといった「着衣失行(ちゃくいしっこう)」や、意識しないでいるときには自然にできているのに、命令されるとできなくなってしまう「観念運動失行(かんねんうんどうしっこう)」などが、あります。

●失認(しつにん)・・・物は見えるのに、それが何であるのかや形が理解できない症状です。
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脳卒中後遺症の診断

脳卒中(脳血管障害)の発作後、命は取り留めたものの、言語障害や片麻痺、失行、失認といった、後遺症に悩む人びとが増えています。これらの後遺症を「脳卒中後遺症(のうそっちゅうこういしょう)」といいます。

脳卒中後遺症の改善は、適切なリハビリテーションをいかに計画的にすすめていくかにかかっています。そのためにも、後遺症の程度や、損傷を受けた部位を正確に把握することが必要となります。

CTスキャン
脳の病巣部位を把握するために用いられるのが、CTスキャンです。CTにうつしだされた病巣部位の大きさと、片麻痺の程度や回復の時間には密接な関係があるからです。

MRIと脳循環血液量の測定
発病から時間がたっている場合、たとえば脳出血では、CTスキャンでは異常がみとめられないことがあります。このような場合には、MRIで判断したり、脳循環血液量の測定をおこなったりして、病気の状態を把握します。

そのほか、失語症や失行、失認についても検査します。失語症については、話す、人の話を聞いて理解する、読む、書く、といった各言語能力がどの程度障害されているかを把握します。そのために、「自発言語」「復唱」「聞いて理解する」「音読」「読解」「自発書字」「書き取り」および「写字」という8つの種類の言語動作について検査がおこなわれます。これを「標準失語症検査」といいます。
失行、失認については、ある動作をおこなわせてたり、図や絵を描くといった課題をどの程度こなせるかを評価します。
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リハビリテーション

現在、日本では、脳卒中(脳血管障害)で死亡する人の数こそ減ってはきていますが、片麻痺や言語障害、失行、失認といった、脳卒中の後遺症に苦しむ人は、逆に増えています。脳卒中の後遺症を改善するためには、脳卒中の発作によって脳のどこに病巣があり、それはどの程度の大きさなのか、またそれによりどのような障害が、どの程度生じたのかを正確に判断することが大切です。それにより、適切なリハビリテーション計画を立てます。そして意識がある程度回復し、全身の状態が安定してきたら、できるだけ早くからリハビリテーションを開始します。いつまでも大事をとっていると、関節がこわばってしまい、回復がますます困難になるからです。

リハビリテーションの第1は、自分の力では動かせない関節(肩、ひじ、手指、股、ひざ、足)を、他人に動かしてもらう運動です。これを「他動運動」といいます。

他動運動
他動運動は、発病後できるだけ迅速に・・・発病後2~3日以内におこなうべきであるとされます。開始の条件は、「痛みを感じてそれを意思表示できること」です。関節を動かす訓練は、ご家庭でおこなう場合には、かならず専門医の指導を受けることが必要です。


他動運動のあと、徐々に日常生活に必要な訓練をおこなっていきます・・・座る訓練、ベッドから起きて車いすに移る訓練、立つ訓練、歩行訓練、食事、着衣、排泄、入浴です。

そのほか、言語障害(失語症)がある場合には、その訓練も行います。
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脳卒中の発作後の食事

脳卒中(のうそっちゅう)、すなわち、脳血管障害、の発作を起こした人の発作後の食事は、脳卒中の原因である脳動脈硬化の誘因となる高血圧や肥満を防ぐことが大切です。これは、糖尿病や、高脂血症(こうしけっしょう)、痛風(つうふう)を予防するという意味でもあります。そのために、1日の摂取カロリーと、塩分をおさえる必要があります。
1日の摂取カロリーは、1600キロカロリーに、また、塩分は、7グラムにおさえます。
ただし、タンパク質については、血液中のタンパク質の補給と、血管壁(けっかんへき)の強化のためにしっかりととる必要があります。タンパク質が不足すると、血管が破れやすくなるのです。卵や大豆製品(大豆、豆腐、薄上げ、厚揚げ、など)、および低脂肪の肉や魚(赤身の肉、鶏肉、白身の魚、など)といった、良質のタンパク質で、70グラムを確保するようにします。魚の干物および練り製品(かまぼこ、はんぺん、など)といった加工品は、塩分が多く含まれているので、避けたほうが無難でしょう。

野菜は、充分な量をとるようにします。カリウムやカルシウム、食物繊維には、血圧や血中コレステロールを下げる働きがあるのです。生野菜にこだわらず、加熱してかさを減らすとよいでしょう。

油脂類は、カロリーを増やす最大の要因となりますので、摂取には注意が必要ですが、制限しすぎるのも血管に悪い影響を与えますので脳卒中の発作を起こした人にとって、摂取が難しいものです。油脂のなかでも血中コレステロールを上げやすい動物性脂肪は控えめにし、その分、植物油の割合を増やします。
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麻痺のある人の食事の工夫

脳卒中、すなわち脳血管障害による後遺症として、運動麻痺(うんどうまひ)が残ることがあります。
たとえば、手足(右または左)の動きが不自由になり、自分で調理をすることはもちろん、食器をうまく使えなくなることもあります。また、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ・・・飲み込み)が困難になることから、食事をとること自体が難しくなることがあります。そのため、栄養状態が悪くなり、体力が落ちて、病気の回復やリハビリの妨げになります。

脳卒中後遺症がある人の食事の対策ポイント

1.後遺症の程度に応じた対策
脳卒中の発作後、後遺症が残ってしまった人は、その症状に応じた対策が必要です。
・食器類の使用はどれほど可能でしょうか?
・咀嚼や嚥下能力はどれほどあるでしょうか?
・食べるときの姿勢はどうでしょう?
不自由な点を、どれほどカバーすることができるか、またそのために必要な調理形態(やわらかめにしたり、細かく刻む、とろみをつける、など)を考えます。また、少しでも楽しく食事ができるよう、食事の場所も工夫します。

2.調理の仕方
・やわらかめに調理する・・・食事は全般的にやわらかめに調理し、のどのつまりやむせ返りを防ぐようにします。
・小さく刻む・・・調理の段階で、大きなものはあらかじめ刻んでおくとうよいでしょう。

3.食器の工夫
・軽くて、食べやすい食器を工夫し、用意します。
・手、特に利き手が不自由な場合、もち手がついたカップがいいでしょう。
・飲み物には、折れ曲がりストローがあると便利です。
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咀嚼、嚥下障害のある場合の食事

脳卒中に限らず、あらゆる病気において、食事は体力的も精神的にも、回復を促すための重要なカギになります。しかし、脳卒中の場合、発作後の遺症で、運動麻痺(うんどうまひ)が残り、利き手が不自由になったり、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ・・・食べ物を飲み込むこと)の能力に支障がおよぶと、食事はまさしく苦行と化します。
それでも、早期からきちんとしたプログラムに沿った、リハビリテーションを根気強く続けることで、摂食能力をかなりの程度まで回復させることができます。脳卒中の発作を起こされたご本人も、周囲のかたがたも、あせることなく、リハビリテーションを続けていきましょう。

後遺症のなかでも、咀嚼や嚥下に強い障害が残った場合には、調理に工夫をすることが必要となります。
工夫のポイントは以下の点です。

1.全体的にやわらかめに調理します。
・やわらかく調理することで、むせ返りやのどのつまりを防ぐようにしましょう。消化もよくなり、胃の負担を減らすことができます。

2.大きなものは刻みます。症状に応じて、半流動状の食事にします。
・あらかじめ調理の段階で刻んでおくと、食べやすくなります。
・半流動食が必要な場合でも、見た目があまりにも悪くなると食べる意欲を失ってしまいます。配慮が必要となるところです。

3.刺激の強いものは避けます。
冷たいもの、熱いもの、酸味の強いものは、むせやすいので避けます。

4.水分の多いものは、とろみをつけます。
ある程度濃度のあるほうが、のどの通りが良くなります。
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脳卒中発病後の食生活改善

脳卒中の発病後は、生活、特に、食生活を改善し、脳動脈硬化の最大の誘因になる高血圧を防ぐことが必要となります。脳卒中の発病後、自分で食事をとることができる人は、以下の点について、ご自身の食生活を見直し、改善を試みてください。

1.標準体重の維持・・・肥満予防と改善
肥満は、脳卒中の誘因となる高血圧を招きます。すでに太っている人は、その解消のために、早急に!なんらかの手を打つ必要があります。摂取カロリーを減らし、標準体重に近づける工夫が必要です。また、現在のところ標準体重にある人は、その維持に努めます。

2.塩分制限
塩分の取りすぎは、高血圧の人にとって致命的です!1日7グラム以下におさえます。

3.動物性脂肪の制限
油脂類は、カロリーオーバーの原因となり、肥満を招きます。特に、霜降りの牛肉やバターなど、動物性脂肪は血中コレステロールを上げやすいので、控えます。植物性の油脂を増やすようにしましょう。

4.良質のタンパク質は充分に!
タンパク質の摂取は、血液中のタンパク質の補給と、血管壁の強化に必要です。タンパク質が不足すると血管が破れやすくなるのです。

5.野菜、海藻、大豆製品をたっぷりと!
カリウム、カルシウム、食物繊維には、血圧を下げるはたらきがあります。また、ビタミンやミネラルは、微量の栄養素ですが、血管の強化や脂質の代謝に重要なはたらきをします。
便秘は血圧を上げる誘因となりますので、食物繊維をたっぷりとって便通をよくしましょう。

6.アルコール、タバコは節制します!
動脈硬化を促進する要因になります。
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摂食障害を助ける調理の工夫

脳卒中の発作の後遺症で、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に支障が出ることがあります。
咀嚼に支障があると、物を小さくかみ砕くことができないことから、丸ごと飲み込もうとしてのどに詰まらせたり、消化が悪いので胃に負担をかけてしまうことになります。
また、嚥下というのは、食べ物を飲み込むことをいいます。嚥下に障害があると、のどにつまったり、むせ返りを起こすことになります。
これらの障害に対しては、その症状の程度に応じて、調理を工夫します。

1.水分、および水分が多いものは、むせやすいのでとろみをつけます。
脳卒中の場合、水分補給は非常に大切です。なめらかで適度な粘土があると、嚥下に支障がある場合でも比較的、のどを通りやすくなります。
温かい料理では、片栗粉やコーンスターチ、牛乳や生クリーム、あるいは卵を用いてとろみをつけたり、固めたりします。
冷たい料理では、ゼラチンや寒天を用います。
逆に、パンなど、ぱさつきやすいものものどごしが悪いので、パンに卵液を吸わせたり、ごはんはおかゆにします。

2.食べ物は、細かく刻むか、すりつぶします。
咀嚼、嚥下の支障の程度に応じ、細かく刻むか、すりつぶして半流動状にします。すりつぶす際には、野菜の場合は、加熱してからすりつぶし、肉類は逆に、すりつぶしてから加熱すると、口当たりがよく、なめらかな仕上がりになります。

3.甘みをつけるのも一考です。
甘みがあると嚥下しやすくなるといいます。また、食欲がない場合には、間食でエネルギーを補給する必要があるので、ゼリーなどが良いでしょう。
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水分補給

脳卒中の発病後の食事のポイントとして、充分な水分を補給することがあります。

水分は、血液循環を良くし、血液の凝集能(血液が固まる作用)を抑制するのに重要なはたらきをします。そのためたっぷりの水分を摂取する必要があります。また、脳卒中の後遺症で摂食障害が残り、全体的に食物の摂取が減ると、水分の摂取が少なくなり、脱水症状をおこしやすくなるため、意識して水分を補給することが大切になります。
(ただし、アルコールや甘いのみものは、肥満の原因となりますので、控えめにします。)

しかし、脳卒中の後遺症で、摂食障害、特に嚥下(えんげ・・・食べ物を飲み込むこと)に障害がある場合、水分、および水分が多いものは、むせやすいので、注意が必要です。むせ返りを防ぐためには、水分にある程度の濃度があるほうが良いようです。

温かい料理の場合は、たとえばスープなどは、片栗粉でとろみをつけたり、卵や牛乳を加えて濃度を増す工夫をします。
コンソメスープよりも、ポタージュスープのほうが、とろみがあって、嚥下したすいでしょう。また、茶碗蒸しは、咀嚼に障害がある方でもおいしくいただけますし、栄養もあって、お勧めです。

冷たい料理の場合は、ゼラチン寄せや寒天寄せにしてはどうでしょう。甘いデザートとしてに限らず、白身の魚や鶏のささみ肉をゆでてほぐし、コンソメ味のスープで煮てそのままゼラチンで固めると、栄養豊かな主菜になります。

また、熱すぎるものや逆に冷たすぎるもの、酸味のあるものは、むせやすいので、避けるようにします。
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